ULからUへG


AAOKからついにメールが入りました。

「部品発送したから楽しみに待っててくれ!
また何か注文したい部品があったらいつでもOKだぜ」

もう頼むことはありませんのでご安心を♪



ビッグサイドバルブと呼ばれるU系の
エンジンについて今まで集めた情報を公開します。

自分なりに調べた情報ですが
間違っている点があったら是非ご指摘ください。
U系モデルは
U、UL、UH、ULHの4種類があります。
この他にもUSやUHSといったサイドカーモデルや
軍用のUAなどもありますが
エンジンは共通なのでここでは省略します。
この4種類のモデルは
外装は100%同一でエンジン仕様が違うだけです。

まずUとULの違い(UHとULHも同様)ですが
単にシリンダーヘッドによる圧縮比の違いのみです。

他の部品はそのままに
シリンダーヘッドを変えることで圧縮比を変えて
UをULにしたり、ULHをUHにしたりと
簡単に変更が可能です。
どちらのヘッドかを鑑別するための
チェックラインがヘッド裏面にあります。
ライン1本はU、UH用の低圧縮ヘッド。

実はこれ今までのULに使用していたヘッドです。
車検証こそULでしたが実力的にはUでした♪
こちらはUL、ULH用の高圧縮ヘッド。
シリンダーに組んでいるので側面からしか
確認できませんがラインが2本見えます。

つまりモデル名に「L」が付くのは
このヘッドを使用している高圧縮モデルを意味します。

あとは全部一緒♪
・・・と思っていましたが
1937年式Uを2台所有する陸王さんから
「数字が入っているはず」とのするどいご指摘が。

シリンダーヘッドのガスケット合わせ面に
確かに「9.3」と入っています。

当時パーツリストで調べてみました。

ローコンプ 10.5
ミドルコンプ 9.3
ハイコンプ 8.2

この3種類の設定があるようです。
年式によっては
圧縮比を示す数字がこんなところに。

ガスケット合わせ面だと研磨の際に
数字がつぶれて消える可能性があるので
外側に移動したと推察できます。
ラインと数字の関連性について
自分の知識ではどうしても説明がつかず!
ということで次に進んでw

UとUHの違い(ULとULHも同様)ですが
こちらは単純にボアサイズが違うだけです。

シリンダーはU、UL、UH、ULHとも全く同じです。
ボアサイズは

U、UL   3-5/16″
UH、ULH 3-7/16″

ストロークはどのモデル共通で 4-9/32″です。
ボアサイズが違うだけなので
Uにビッグサイズのピストンを組んで
ボーリングすればUHになるということです。

U、UL 73.7ci (1,207cc)
UH、ULH 78.3ci (1,283cc)

「H」がつくモデルはビッグボアエンジンということです。
ということで集約すると・・・

3種類のシリンダーヘッドと
ボアサイズだけという単純な組み合わせで
4モデルを設定しているだけなのです♪

逆に奥が深いス。




モデル名 ヘッド 圧縮比 ボアサイズ 排気量 ストローク量
U 低圧縮1? 5.0  3-5/16″ 1,207cc  4-9/32″
UL 高圧縮2? 5.5
UH 低圧縮1? 5.2  3-7/16″ 1,283cc
ULH 高圧縮2? 5.7




ここからは年代によるエンジンの違いを紹介します。

まずはシリンダーヘッド。
1937年式までは始動時にガソリンを直接送るための
孔がヘッドを貫通しています。

使用しないのでマイナスネジで蓋をしています。
こちらは1938年以降のシリンダーヘッド。

孔がありませんが
砂型はそのままに製造されていたようで
スペースは残されたままです。
バルブカバーにも違いがあります。

こちらは1937-38年のバルブカバーです。
カバーを上げるのに口の大きいレンチが必要です。
こちらが1939年から48年まで採用されたカバー。
開閉が容易に出来るように改良されています。
1937-39年のカムカバー。

ナックルヘッドと同様のスムースタイプ。
この無表情さが好きス。
1940-48年のカムカバー。

こちらもナックルヘッドと同時期に変更され
横に8本のリブが入ります。
この変更は熱放射対策でなく
デザイン的要素が強いとのことです。
そして1937年オンリーのレアな部品のひとつ
13枚フィンのシリンダーです。

分かりにくいかもしれませんが
フィンが確かに13枚あります。
シリンダー根元に品番が刻印されています。
13枚フィンの品番は「120-371」です。
こちらは1938年以降の11枚フィンシリンダーです。

2枚少ないので13枚シリンダーより高さが低く
ストロークが短いように感じますが
実は高さは全く一緒で
下の2枚のフィンが省略されただけです。

13枚フィンはUH、ULH専用で
UやULに比べてロングストロークになっているとの
誤った認識を生んでいるようです。
僕もそうでしたw
先にも述べていますが
4モデルともストローク量は変わりません。

11枚フィンの品番は「120 38」です。
1938年に生産開始されたことが推測できます。
1937年に登場したビッグサイドバルブですが
OHVの勢いに飲まれてしまい
1941年にUHとULHの2モデルがなくなり
1948年を最後に残るUとULも生産終了。

「ビッグツイン」の称号をOHVに譲って
ビッグサイドバルブは終焉を迎えます。
最後に!

純正シリンダーに必ず入っているこのマーク。
こいつの正体を知っている人いませんか?

謎です。



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