整備記録 (07)

ULの車検の時期が来ました。
特に大きなトラブルはありませんが
せっかく入院するので少し手を加えてもらうことにしました。

BREEZEに搬送です。
福島から仙台までピックアップに来てもらいました。
FORDのピックアップカーです。
 
BREEZEにて作業開始。

その1。

まずはクラッチリリースレバーを交換します。
1936-37年のみの純正品です。
河童さんの絶大な協力のもと米国のマニアから競り勝ちました。

溝がふたつ切ってあります。
どうやらハンドクラッチの溝のようです。
 
早速装着してみました。
使用する溝は外側のみ。

内側にも溝があるなんて!!最高でしょ?
完全に自己満足の世界w
 
その2。

1930年代の純正ハンドルバーに交換します。
後年のバックホーンとも違うこの純正ハンドルバーは
VLと同じように外側に大きく広がっています。

いままで使用していたのは1940年代のスピードスター。
 
さくさくと装着してもらいました。
バイクの印象がぐっと変わりました。

ポジションも良好で長距離移動も楽チンになりそう♪
 
その3。

アウタープライマリーカバーを交換します。
いままで着いていたのは社外品です。
納車のときは黒く塗装されていましたが
なんとなく剥離しちゃってました。
 
BREEZEにあった1930年代の薄型プライマリーカバーを装着。

・・・が僕のクラッチは1940年代のものが着いているので
純正のカバーだと薄すぎて着きません。
ダービーカバーにシェルが当たってます。

1930年代と40年代ではクラッチシェルの厚みが違うんですね。
 
クラッチシェルを削るのはちょっと抵抗あるし…
クラッチの切れも悪くなりそうなので結局断念。

散々迷ったあげく
BREEZEにあった1940年代の純正プライマリーカバーを着けることに。
ここはいろんな部品があるな〜。
 
ブラストで赤塗料を剥離して
へこんでいる部分をパテで整形してもらいました。

当時部品のようですが
塗装されていたのが良かったのか状態は良好です。
 
でボディと同じアイボリーに塗りました。
インナープライマリーも同様にアイボリー化です。
ここの塗装は1年前から目論んでいました。

ガソリンなどで剥がれないように
ウレタン塗料を使用して仕上げにクリアを吹いてもらいました。
 
その4。

ガスタンクの塗りなおしを決行です。
 
納車のときから気になっていたんですが
デカールの位置がわずかに後ろに下がり気味で
高さもちょっぴり低いんです。
そして上下のラインの位置も近いような・・・。
さらに上のラインは長さも短いようです。

これでもいいんですがせっかくなので自分好みに。
 
ちなみにこれは1937年当時のカタログ写真。
どうです?カメラのアングルが違うかもしれませんが
シフトゲートとラインの重なり具合が微妙に違いますよね?
 
写真からでは正確な位置が割り出せないので1937年式オーナーの友人にデータをもらいました。
陸王さん、chikaさん、河童さん、タカくん、ならわさん他ありがとうございました。

バイクによってデカールの位置、ラインの長さなどが微妙に違いますね。
それぞれに拘りがあるようです。
ULと違ってナックルはタンク下側がへこんでいるのでデカールの位置が高いことも分かりました。
ということで僕も当時資料を参考に自分なりに解釈して決めます。

今後1937年式ULのオーナーの参考になれば。。。

 
まずはデカールの位置決めです。
ティアドロップを真っ二つにするラインを探り当てます。
ここでタンク後方部分に注目です。
当時カタログを参考にすると中心からわずかに上がっています。

参考までに下は1938年式のタンクです。
こっちはティアドロップど真ん中を通っています。
 
マスキングテープを使って軸になるラインを決めます。
そしてタンクキャップを基準に
ライン上でのデカールの位置を決めます。

画像と比較しながら場所を探ってみました。
タンクエッジから175mmのところがデカールの基点っぽいです。
(今の位置から20mmほど前方でした)

この作業はフレームから外す前にやったほうがよさそうです。
タンク単体でラインを探すのは難しいかも。
 
次にデカールと上下ラインの隙間の距離を決めます。

今回参考にしたのは当時純正カラーのナックルヘッド。

HOT BIKEの28号に掲載された
ANTIQUE OF THE MONTHの1937年式ナックルヘッドをスキャン。
 
スキャンした画像を最大の800%までズームアップさせて
パソコンの画面上でノギスを使って距離を採寸します。
 
そしてデカールも同様に計ります。
相対距離から実際の長さを割り出す作戦です。
 
手元にあるデカールを採寸して距離が出ました。

場所によって異なりますが4〜6mm。
ということで今回は5mmに決定です。

もっと離れているように見えますが金色が曲者ですね。

これはスキャンしたバイクのデカールと
このデカールが全く同じサイズであることが大前提なのですが・・・。
 
最後に上下ラインを決めます。

長さ、ラインの切れ角度は全てデカールを基準に決めました。
なんとなく決めると左右のタンクで位置がぶれるかもしれないので。

画像の青い線を基準線に垂直線を引きます。
縦に入れている水色の線の間隔はすべて青い線と同じ長さです。

下ラインの後方部分だけはタンクの曲面の影響を受けるので
長さ、切れ角度とも補正してます。
 
ラインの切れ角度は当時写真を参考にしていません。
あまり鋭すぎるのは好みじゃないんです。

ラインの太さは今までと同じで金縁3mm、赤5mmの11mm幅です。
フェンダーにも同じラインが入っているのでそれにあわせました。

前述のオリジナル純正塗装のラインは
スキャン推測値で金縁2mm、黒5mmの9mm幅です。



ついに完成しました。1937ULの2007年スタイルです。
細かいところを修正して完成度が高まりました。

ミリ単位の細かい注文に応じてくれたBREEZEに感謝します。







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